はじめてのオーダースーツ

銀座の社長 × ペコラ銀座

日本でも有数のテーラーとして知られている
「ペコラ銀座」さん。
縁あって、銀座の社長(高橋一)が
初めてオーダースーツを注文することに。
生地を選ぶところから、出来上がりまで
全13回にわたって掲載いたします。

ペコラ銀座について

目次

第12回
肩線は背中の方に作る。

高橋:
佐藤さん、髪切られました?
肩線は背中の方に作る。
佐藤:
しまった!そうだ髪の毛…。
とつぜん別人みたいに
なっちゃいますね(笑)
ずっと切りたいと思ってまして。
もういい加減、歳も歳だし、
もうやめようと思いながら。
高橋:
あの髪型は、佐藤さんの
トレードマークかと思ってたんですよ。
佐藤:
そう思われて切れなくなって、
気がつけば10年以上
たっていた感じです(笑)
 ー:
短いと髪の毛を洗うときラクですよね
佐藤:
すごいラクですよね。もう全然ちがう。
こんなにラクだったっけ?
と思いますもん(笑)
 ー:
髪もすぐ乾きますし。
佐藤:
そうなんですよね。
マメに床屋に行かなきゃいけないのが
面倒なだけで。
今までは半年に一回くらいでした(笑)
肩線は背中の方に作る。

(銀座の社長、着替えて登場)

佐藤:
切ってるところも銀座なんです。
金春湯に入ってる美容室で。
親子二人でやってるんですよ。
高橋:
へえ。
佐藤:
友だちの紹介で行ってみたら、
いい感じなんです。
のんびりしていて、いい雰囲気の人で。
アシスタントもつけないで
お母さんと息子さん二人で
切り盛りしているところも
いいなあと思って。
看板も小さくあるだけ。
高橋:
そんな美容室が銀座にあったんですね。
肩線は背中の方に作る。
佐藤:
ウエストもいいですよね。
高橋:
ちょうどいいです。ちょうどいいです。 ベストのボタンは
全部止めた方がいいですか?
佐藤:
どちらでも大丈夫です。
いちばん下は外しててもいいですけどね。
肩幅はあまり狭くしないで、
クラシックな雰囲気が
出るようにしています。
今っぽくキュッとするよりは、
肩をきちっと持たして
ドレープ感が出るように。
 ー:
軽いんですもんね。
高橋:
なんか社長みたい(笑)
肩線は背中の方に作る。
佐藤:
社長じゃないですか(笑)
 ー:
上場企業の社長みたい(笑)
高橋:
上場企業のね(笑)
ほんとだよね。
いやもうほんと軽い。
佐藤:
軽いんですけど、立体感というか、
質感がある。
あと首回り。
首からスーッと円を描くラインが
綺麗に出ています。
高橋さんは胸があるので余計、
綺麗に出るんですけどね。 
ハンドメイドのいいところです。
そういう作りにすることによって、
着たときの着心地が良くなる。
首にピタッとつく作りにすると、
かえって首を押さえつけてしまい、
長時間着ると辛くなってくるんですよ。
それから、このフックベント。
高橋:
そう!これがまたいいですね。
佐藤:
これが高橋さんらしくていい感じです。
ふつうのクラシックな服ではない。
バランスもすごくいいと思います。
袖丈もちょうどいいと思います。
高橋:
ちょうどいいですね。ほんとに。
佐藤:
それから肩線ですが、
正面から見たときに、
この肩線が見えないように
わざと後ろにしているんですよね
高橋:
あ!ほんとだ!
正面から見ると、見えない。
肩線は背中の方に作る。
佐藤:
肩線は肩の真上にあるほど
作りやすいんですよ。
ですが、前から肩線が見えるというのは、
昔風でいうとカッコよくなかった。
ですから、
縫い目を背中の方に持ってくる。
これは、昔のイタリアのやり方です。
高橋:
アメリカだとまた違うんですか?
佐藤:
いえ、アメリカもイギリスも同じですよ。 ただ、工業的になればなるほど、
肩線は前の方が作りやすい。
それで昔のやり方が減っていきました。
高橋:
なるほどー。
佐藤:
ほんのちょっとした工夫なんですけどね。
でもそこが大事なんです。
高橋:
陽に当たると、
またちょっと色が変わりますね。
肩線は背中の方に作る。
佐藤:
そうなんですよね。はい。
高橋:
一日着たらふつうに
ブラシをかけた方がいいんですか?
佐藤:
ええ、ブラシをかけてください。
高橋:
わかりました。
佐藤:
それから、このスーツは
アームホールを高くしています。
動いたときに
背中のラインを長く保てるので
シルエットがより出てきやすいんです。
芯も手縫いで立体感を持っているので
胸板のドレープ感も平面的じゃない。
日本の一般的な仕立ては、
着物の影響もあるのか
どうしても平面的な作りになって、
ペターっとしやすいんですよね。
立体感を作る。
それはヨーロッパの作り方の
いいところですよね。
とくに高橋さんは胸があるので、
より立体感が出る。
高橋:
ほんといいです。
ありがとうございます。

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